メネルブ(Ménerbe)のご紹介

ひとつ前の投稿では、リュベロン地方訪問記第一弾としてルールマランをご紹介しました。今回は、同日午後に訪れたメネルブ(Ménerbes)の訪問記になります。

メネルブといえば、なんといっても全世界にプロヴァンスブームを引き起こした「南仏プロヴァンスの12か月」(ピーター・メイル著)の舞台として有名です。当時、この本に触発され、例えば定年後にセカンドライフを過ごす場所として、南仏に移住した日本人の方もたくさんいらっしゃいました。(ちなみにピーター・メイル氏はその後ルールマランにも住んでいます。)
さらに古い話になりますが、1944年には画家ピカソが愛人の写真家Dora Maarのためにメネルブに家を購入しています。

村は細長い丘の上にあり、小さな鷹の巣村、といった趣です。市街地部分に限れば、前回ご紹介したルールマランより小さな村です。

プロヴァンス・リュベロン地方の町、メネルブ(Ménerbes)

オンシーズンは観光客でかなり賑わいますが、気温が低めの晩秋から冬の間はひっそりとしています。観光客向けのおしゃれな雑貨店やカフェ・ビストロは、他のリュベロンの観光地に比べてやや少なめです。プロヴァンスの美しい村を人に邪魔されずゆっくり散策したい、という方にお勧めです。

メネルブで食事をする場合は、ぜひ”Bistrot Le 5“をお試しください。屋内席もありますが、「絶対に」テラス席を予約してください。崖側の柵に近い席であれば、料理とともに圧巻の景色も堪能することができます。

プロヴァンスの町メネルブのビストロ、"Bistrot Le 5"

グラスでも提供されるAOC Luberonの赤ワイン”Domaine Ruffinatto”は地元のドメーヌなのですが、驚くほど美味しいです。初めて飲んだ時の感動が忘れられません。無名の小さなドメーヌでもこの仕上がり、ワインの国フランスは奥が深いです(輸出品の中にはイマイチなものもありますが)。運転されない方はぜひこの赤ワインもお試しください!

Bistro le 5は市街地の入り口にありますが、その少し手前に目を引く大きな建物があります。17世紀に建てられた建物で、フランス語で”Relais de poste”と呼ばれる郵便機能を果たしていました。 むかしむかし、フランスでは、馬に乗った騎士が(馬車が普及してからは馬車が)郵便物を各地に運んでいました。”Relais de poste” はその郵便網の中継地点で、馬を飼い、待機させておく場所だったのです。

メネルブの古いRelais de poste

村の高いところには、16世紀、 宗教戦争の頃に作られた要塞があります。1573年から1578年に村が占拠された”le siège de Ménerbes”と呼ばれるメネルブの歴史的な出来事の後に、村を守るために作られたものです。

この要塞は、遠景ではまるで岩壁に生えているかのように見えます。以前から構造が気になっていたので、今回その基礎部分をじっくり見てみました。あまりにも岩壁に馴染んでいたので、ひょっとして岩壁を一部くり抜き基礎部分を作っているのでは?などと妄想していたのです。要塞の基礎辺りに行ってみたところ、何のことは無い、岩壁の頂上を平らに削ってその上に乗せて作られていただけでした。色も近いですし、同じ植物なども生えて同化しているのですね。

メネルブの要塞
メネルブの要塞の基礎部分

村をしばらく歩いていると、釣り鐘型のフレームに覆われた鐘の載った塔が目に入ります。鐘の周りには五つの十字架が設置されており、壁に大きな時計もありますので教会のように見えますが、1610年~1613年に建てられた時計塔、”La tour d’horloge”です。

時計塔に併設されている建物の一部は、1900年代後半まで村役場(mairie)として使われていました。

時計台脇には建物の反対側に抜けるトンネルのような通路があります。暗いトンネルの前方に青空が見え、まるで絵画のよう。

この通路を抜けると、プロヴァンスの絶景がはるか遠くまで広がっています。

メネルブから見える下界の景色

時計塔前の広場は”Place d’horloge”と名付けられており、広場の反対側には高級レストラン”maison de la truffe et du vin”があります。「トリュフとワインの館」とでも訳すのでしょうか、こちらでは美味しいワインとトリュフを堪能することができます(できるそうです)。

われわれにはかなり敷居が高いので、まだ食事をしたことはありません。今回も隙間からチラっと庭を覗くのが精いっぱいでした。 

Maison de la Truffe et du Vinの庭

ご紹介したいポイントはまだまだたくさんあるのですが、長くなりましたので今回はここまで。ルールマラン同様、また必ず訪れますので、他のポイントはそのときにあらためてご紹介することとしましょう。

最後に、今回の訪問でメネルブで撮影した写真を何枚かアップいたします。やはりアンティークなドアやヴォレには心を動かされます。

アンティークなドアとツタの絡まる古い壁
プロヴァンスの屋根
メネルブの町で見かけた古い雨戸

それではまたお会いしましょう!

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