人里離れたアンティークショップへ

Bonjour 皆さん!

フランス買い付けもそろそろ終盤に差し掛かっています。この時期は、これまで契約倉庫に運び入れたアンティーク品の総容量をしっかり確認することが重要なタスクになります。フルコンテナぎりぎりまで積載可能なボリュームと現在の空きスペースをざっくりイメージし、残された期間の買い付けに臨まなければなりません。

  • 契約倉庫では、保管および梱包の他にコンテナローディング(積み込み)も対応してもらっていますので、担当者の見立ても参考にしています。誠実かつ確実な仕事をするこの業者さん、帰国後にはなりますが、積み込み前にローディング図を作成してくれますので、遠い日本で「全部載るかな?」と心配することもありません。あのコンランショップもクライアントに名を連ねています。

    コンテナローディング図
    ローディング図

昨日は、10年近く前から通っているアンティークショップに行ってきました。

蚤の市やアンティークフェアーを目指す場合は早朝の出発になりますが、開店の遅い一般店で買い付ける日は移動ものんびり目で楽ちんです。目指すショップは拠点から高速で1時間、降りてから下道で30分くらいの比較的近場ということもあり、いつになく遅い出発になりました。

トイレ&コーヒー休憩でSAに。珍しくハイグレードなコーヒー自販機がありましたので、写真を撮ってきました。さらに高級?なStarbucksの自販機も稀にありますが、4種類くらいしかチョイスの無いアナログボタン式のシンプルなものの方が多いです。この自販機は”あなたのために抽出中です”画像とコーヒールンバBGMが印象的な日本のSA自販機と同じような価格帯ですね。

フランスの高速道路のコーヒー自動販売機

”CARTE NOIRE”、”Jacques VABRE”、”NESCAFÉ”、”Lipton”、”TWININGS”など、多様なブランドがあります。缶コーヒーではなく抽出系の自販機で異なるブランドが揃っているのが面白いところ。個人的には、なぜプレーンのインスタントNESCAFÉがマキアートやカプチーノなどと並んで最高価格帯に位置付けられているのか理由がわかりません、どうでもいいですが。(スマホの方、画像が小さくて申し訳ありません!気になられたら横持してご覧ください)

フランスではたいていどのSAにも小さめサイズのスーパーが出店していますが、このSAのミニスーパーはあのカルフールです。

日本のSAの小売りコーナーはお土産系商品で埋め尽くされていて、イマイチ使い勝手が良くありません。それに比べフランスでは、さすがに生鮮品は少な目ながらも、日常使いの食料品は充実しています。帰りが遅くなり夕食を作る時間が無い日は、SAの出来合い品にお世話になることが多いです。生ハムとチーズたっぷりのシーザーサラダ、また食べたい!

フランス高速のSAにあるカルフール

高速を降りてしばらくプラタナスの並木道を進みます。プラタナスの並木道は、個人的な「南仏の印象的な風景ベスト5」にランクインするくらい大好きな風景で、落葉した冬でも素敵です。

フランスに多く分布しているプラタナスは”platane commun”と呼ばれる種類で、日本名は「モミジバスズカケノキ」。白亜紀に存在していた元祖ヨーロッパ種は氷河期に絶滅していて、現在の”platane commun”は北米原産の”platane d’Occident”と、紀元前にローマ人がイタリアに植えたアジア西部(~ヨーロッパ東南部)原産の”platane d’Orient”との交配種と言われています。

プロヴァンスのプラタナスの並木道

高速から降りたばかりですが、早くもかなり田舎な雰囲気。

しばらく走った後、大きな通りから外れ農道のような小道を行きます。前方の左に見える小さな塔のついた建物は15世紀建立の教会で、500年以上の歴史があります。こんな田舎に可愛らしい教会がポツンと建っているのを見ると、子供の頃に読んだ童話の世界に紛れ込んだような気になります。

プロヴァンスの田舎道

道路の右側には、ワイン用の葡萄畑が広がっています。樹高を低く仕立てるのが南仏の葡萄栽培スタイル。現在住んでいる軽井沢の近くにも、小諸、東御、上田など葡萄栽培の盛んな地域が多く存在していますが、フランスで目にする葡萄畑に比べ、かなり樹高を高く仕立てています。

栽培する葡萄の種類によって仕立て方が異なるということもありますが、乾燥地帯である南仏は土壌から上る湿気が少ないため、日本のような湿度の高い地域に比べ低く仕立てることができるのです。高いよりも低い方が各種作業を楽に行うことができますし、太陽をたくさん浴びた地面の熱が葡萄に届きやすいというメリットがあります。低いことは良いことづくめですね。

それにしてもこの空の青さの素晴らしいこと!

プロヴァンスの葡萄畑

この先の森の中を少し走り、目的の店に到着。

ポツンと人里離れた森の中にあるためか、以前覆面強盗団に襲撃されたことがあるそうです。

命が惜しかったらおとなしくしてろ!

商品は全部いただくぜ、へへへ。

はい、どうぞ好きなだけ持って行ってください!

という流れで、大型バンで乗り付けた3人組の強盗団にほとんどすべての品を持っていかれてしまったとのこと。古いものが普通にマーケットで流通していて換金が容易なフランスならではの事件です。流動性が低い日本では、捕まるリスクを冒してまでアンティークやブロカント品を盗もうと考える人はいないでしょう。

このお店、実は必ずしも当店の「シャビーシック」というコンセプトに合う品揃えではありません。それでも買い付けのたびに訪れるのは、とにかく商品の素性が良く、安心して買い付けることが出来るからなのです。

同業者から流通品を仕入れることはせず、オーナーが個人宅に赴き仕入れた本物のアンティークだけを販売しています。”noblesse”(貴族や上流階級)の邸宅専門で仕入れていると言ってはいますが、まあ実際は一般の旧家でも仕入れていると思います、でないと充分な商品を確保できませんので。そこは話半分に聞いております、はい。

南仏のアンティークショップ-1

店内の雰囲気を一言で表すとすれば、「おばあちゃんち」でしょうか。あ、自分のおばあちゃんちはこんな素敵なインテリアではなかったので、欧米の映画やTVドラマで見るおばあちゃんちですが。

茶系の家具が中心で、品揃えはかなり地味めです。明るい色のものは好まないのであまり仕入れないとのこと。一つ一つの品に、本物ならではの歴史の重みがあります。旧家に代々伝わる品々が、まるでその家に置いてあるかのようにディスプレイされていて、楽しく買い付けできます。

家具だけではなく、絵や陶器、ランプなどの小物類が充実しているのも嬉しいポイント。コンテナにまだ多少の余裕があり、あと少し小物を買い足したい、という終盤に使いやすい買い付け場所です。もちろん蚤の市などでも小物を買い付けますが、素性の良い品が満ち溢れているこの店を外すことはありません。コンテナにゆとりがあるときはテーブルなどの大物を仕入れることもあります。

南仏のアンティークショップー2

以前好評を博したエジソン型蓄音機用のシリンダーレコードもこの店で買い付けました。オークションなどにも登場するレア品が何気なく引き出しの中に眠っている、実に奥が深いお店です。

この日は版画やランプなど数点の雑貨と小さめのサービステーブルを買い付け、店を後にしました。

今回は滞在期間が短く、当初はフルコンテナまで買い付けることができるか不安でした。しかし、予想以上に順調に買い付けが進み、そろそろコンテナ容量の限界に近づいてきています。仮置きコンテナは以下のような状態。

契約倉庫の仮置きコンテナ

その他買い付け品も並べてみました。足りないどころか、梱包後に全商品をコンテナに積み込むことができるのか心配になるくらいのボリュームです。

倉庫に並べられた買い付けアンティーク

業者さんに相談したところ、まだ少し余裕があるよ!とのことでしたので、もう少しだけ頑張ります。

それではまた!

Raphaël

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