アンティークショップと買い付け用バン

Bonjour 皆さん!

今シリーズのフランス買い付け紀行はこれまでと少し背景が異なります。前投稿「アンティーク買い付け – 2月版」でその背景について書きましたので、まだお読みになってない方はぜひアクセスしてみてくださいね。

今回(2月)の渡仏に関する背景について一応ざっくり整理しておきましょう。

  • ・諸々の事情により荷物運びをしてもらうポーターを探すことがメインの課題
  • ・多少はアンティーク買い付けを行うが、コンテナを満載にはせず、4月に再渡仏する
  • ・今シーズンのフランス買い付け紀行はダイジェスト版とする

なんとなく伝わりましたでしょうか。

本投稿ではアンティーク・ブロカント買い付けに関するトピックをコンパクトにまとめてご紹介いたします。

いつものように、とはいきませんが、少しづつ買い付けをしております。

プロヴァンスの青空が見える蚤の市はいつ訪れても気持ちよいもの。

蚤の市でブロカントを物色する人々

もちろんプロ向けアンティークフェアーにも参加しています。

デコラティブなアンティークが並べられたプロ向けアンティークフェアー会場
プロヴァンスで開催されたプロ向けアンティークフェアーの室内会場

過去の投稿「プロ向けアンティークフェアーでの買い付け方法」でご紹介した通り、屋内はブロカントではなくアンティーク品がメイン。

ヨーロッパ以外のアンティーク品として多いのは、中国モノ。過去に大陸から流出した骨董品を買い付けるために、多数の中国人バイヤーが来場しています。毎回かなりの人数を見かけますので、国に持ち帰るとそれなりの高値で販売することができるのでしょう。中国骨董を見分ける力のある欧米人はそう多くいないでしょうから、こちらのフェアーは中国の方にとってお宝がたくさんころがっている天国のような場所なのかもしれないですね。

次は屋外の様子。主にブロカント品が売られています。

プロ向けアンティークフェアーの屋外会場。犬連れのディーラーも居ます。

このバイヤーはワンちゃんと一緒。バイヤーだけでなく、ワンちゃん連れの出展者もたくさんいらっしゃいます。ワンちゃんを見ると日本に置いてきた当家のシーズーを思い出してしまいます。会えない寂しさで切なくなったり、慣れない環境に預けてきたワンコに申し訳なく思ったり。

そんないつもと同じ光景がフェアーや蚤の市で繰り広げられています。たくさん買い付けることができないのはやはり残念。

この日は知り合いのアンティークジュエリーディーラーが出店していましたので、掘り出し物がないか覗いてみました。プロヴァンスはリージョナルアンティークジュエリーの宝庫。パリなどの都会で販売されているものとはひと味もふた味も違う品揃えです。残念ながらこの日は仕入れに至りませんでしたが、久しぶりにお会いしたディーラーの方と少し情報交換をすることができました。

今回は少し趣向を変えて、友人のアンティークショップもご紹介しましょう。

金箔師(doreur)のMaëlを覚えていらっしゃいますか?シーズン3の投稿「フランス買い付け完了しました」でご紹介したゴールド系アンティーク専門の方。その後もお付き合いが続いており、今では仕事を離れて一緒にご飯を食べに行くようになりました。

Maëlは私の母親と同郷のブルターニュ出身です。ワインを飲んで良い気分になると「日本で一緒にガレット屋やろうよ」と持ち掛けてきます。まあ半分以上冗談だと思いますが、いつかそんな日が来るかも?

そのMaëlがリル・シュル・ラ・ソルグのアンティーク専門街に新しい店をオープンさせていました。

リル・シュル・ラ・ソルグのアンティーク専門街にオープンしたdoreur Maëlの店

店といっても、建物内のワンコーナーです。見てください、この巨大なフレーム!何のフレームなのかを聞き忘れてしまいました。絵のフレーム?ミラーのフレーム?このサイズのミラーを作るのは大変そうなので、油絵のフレームでしょうか。ゴールド系以外のアンティーク品もいくつか見えます。少しづつラインナップを増やしているようです。

この町から少し離れた場所に、長い付き合いのJeanというディーラーが店を構えています。本人の許可を取っていませんので、とりあえず顔写真は出しません。 Jeanは三兄弟の末っ子なのですが、実は長男も次男もアンティークディーラー。

それではイラスト姿でみなさんに自己紹介してもらいましょう。

長男
長男

三兄弟の中で最初にアンティーク業を始めたのは俺様だ!弟たちは俺様がアンティーク業に引き込んでやったんだぜ。みんなが今安穏と生きていられるのはこの俺様のおかげなんだ。そんな神のように素晴らしい人間だが、ちょっとだけギャンブル好きなのが玉にキズかな。

次男
次男

マルセイユで1・2を争うアンティークディーラーです。マルセイユ外も含めて何軒もアンティークショップを経営するリッチマンだよ。先日、郊外の高級住宅街にお城のような別荘を買いました♪長男はエラそうなこと言ってるけど、実はギャンブルにのめりこんで破産。巻き添えにされそうになったのでとっくに縁を切っています。

末っ子(Jean)
末っ子(Jean)

末っ子のJeanです。気が弱いです。長男と共同経営でアンティーク屋をやっています。「昔世話してやったんだから今度はオマエが助けろ」という殺し文句に抗しきれず長男の借金返済を手伝っています。いつ返し終わるのやら(泣)

という、なんともドラマチックなアンティーク三兄弟。

自己紹介にある通り、最初にアンティーク業を始めたのは長男です。スタート時は路面店もなく、蚤の市で売るだけのビジネススタイル。それでも当時はバブル真っ盛りの時代だったので、フランスアンティークを求める外国人も多く、並べた商品は端からどんどん売れていったそうです。

長男は弟二人にその様を見せつけ、「一緒にやろうよ」という言葉で二人をアンティーク業に引き込みました。その後会社を立ち上げ、数年間は三人一緒にアンティークビジネスをしていたそうです。

バブル景気はしばらく続き、大金を手にした長男はモナコのカジノでギャンブル三昧の生活に。。。ギャンブルで継続的に勝てるわけもなく、大きな借金を抱え破産。

次男はすぐに長男と袂(たもと)を分かち、自立しました。商売のセンスがあったようで、今では知る人ぞ知るマルセイユを本拠地とするビッグアンティークディーラーです。

末っ子のJeanはとにかく人が良くて、長男の元を去ることができませんでした。長男と一緒にアンティークショップを経営しながら、ギャンブルで作った借金を返済中。

初めてJeanのアンティークショップを訪れたときのことをよく覚えています。気になった商品の売値を尋ねたところ、蚤の市やアンティークフェアーでもあり得ないような破格値を提示してきたのです。

通常、一般客向けの値付けをしている路面店は価格水準が高く、よほどのことが無い限り自分たちの買い付けには使えません。価格を確認してみたのもダメ元でのことでした。何か裏があるのでは???

私

マジ?ホントにその価格でいいんですか?

末っ子(Jean)
末っ子(Jean)

もちろんいいですよ。初見の客にはとりあえずイイ思いをさせておいて、また来てもらうのが僕のやり方、作戦なんです。やり手でしょ、へへへ。

ってそんなこと客の前で言ってしまっていいんかい!と突っ込みたくなるような返事が返ってきました。Jeanのこういう抜けているというか、商売には向いていない人の良いところが好きなんですけどね。

もう日本に帰るよ、と挨拶に行くと、いつもうっすら目に涙を浮かべて別れを惜しんでくれます。

ということで、Jeanの店を紹介するかというと違います。聞くも涙語るも涙の前振りはなんだったんだという展開ですが、大成功している次男のアンティークショップの一つをご紹介しましょう。

友人ディーラーJeanの兄のセンス良いアンティークショップ。

素敵なお店だと思いませんか?デコラティブ嫌いな日本の方でもこのお店は気に入っていただけるのではないかと思います。品揃えも商品ディスプレイもとにかくセンスが良い!アンティークの本場フランスで成功するのもわかります。

せっかくなのでもう一枚。

友人ディーラーJeanの兄のアンティークショップ。ライティングが素晴らしい。

ここまでライティングにこだわったアンティークショップは、フランスでも珍しいでしょう。ため息が出そうな異次元の世界。在庫も豊富です。相当な資金力がなければこのようなショップは作れません。

商品や店にばかり着目してきましたが、アンティーク買い付けの必須アイテムといえば、まずは車です。

今回は途中で車を乗り換えました。一台目はこちら。

フランス買い付けで使用したバン

少ないとはいえ、買い付けをする予定でしたので、バンからスタート。家具などの大型商品を運ぶにはこのタイプのバンが最適です。そもそもフランスでは平ボディー(荷台がオープンなやつ)のトラックというものをあまり見かけません。

バンについて言えば、運転席と貨物室が構造上分離しているアルミバンタイプのものは少なく、ワンボックスタイプが主流。ただし大型のバンにはアルミバンタイプのものもあります。後ほどお見せします。

日本では貨物運搬車の大きさを、例えば2トン車、4トン車などのように最大積載重量の「トン」で表すことが多いですが、こちらでは(特にバンタイプの貨物車は)最大積載容量の㎥(立方メートル)で表します。もちろんバンにも最大積載重量の制限はありますよ。

これまで買い付けで使用したことのあるバンの積載容量は、8㎥、12㎥、14㎥、15.5㎥、20㎥の5種類。倉庫の有無を含めた買い付けスタイルや買い付け量の多寡により適切な容量は異なりますので、お勧めサイズを提示するのは難しいです。

あえて言うとすれば、8㎥はかなり小さく、使い勝手が良くありません。倉庫へ荷下ろしをしに行く回数が多くなってしまいますので、買い付け効率が悪化するのです。ただし、小さいがゆえに運転は楽なので、初めてのフランス買い付け(運転)で練習がてら乗るのにはいいかも?

フランス買い付けで使用したバン

今回使用したバンの容量は12㎥。大量に買い付ける予定が無いため比較的小さめのバンを選びました。

大きければ良いというものでもなく、20㎥もお勧めいたしません。何年か前にレンタルした20㎥のバンをお見せしましょう。

20㎥のバン

運転席は3人掛け。タイヤサイズをご覧いただければ車体の大きさがイメージしやすいかと思います。

とにかく大きくて持て余します。普段日本で運転している車が乗用車だけの方は、乗りこなすのにかなり苦労するでしょう(できなくはありませんが)。宅配便のドライバー(大型のやつ)経験のある方であれば問題ありませんが、あの大型アルミバンより車幅が一回り大きいです。私はこのバンで道路標識や歩道の柵などをいくつか曲げてしまいました、ヒミツですよ(汗)

また、かなり背が高く、あちこちで制限にひっかかります。例えばフランスでは多くの屋外駐車場に高さ制限のバーが付いていますので、商業施設に行きづらくなったり。アンティーク買い付け以外にも使用する車ですので、日々の生活に支障が出るということもお勧めできない理由の一つです。

先ほどお伝えした通り、今回は車を乗り換えました。2台目はフツーの乗用車、VWゴルフ。

今回の渡仏で乗った2台目の車。VWの乗用車です。

当初は最後までバンという契約だったのですが、買い付けが順調に進み、想定より早い時期にバンが不要になりました。レンタカー屋に相談してみたところ、乗り換えOKというありがたい回答。ゴルフには初めて乗りましたが、根強い人気のあることがよくわかる良い車です。

車の話が長くなってしまいましたね、失礼いたしました。

それではまた近々お会いしましょう!

Raphaël 

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