買い付けアンティーク

買い付けも残すところ一週間を切りました。

当然のことながら海上コンテナに積載可能な量は限られていますので、この時期の買い付けはコンテナの残容量を考えながら慎重に行います。ストック用に使っている仮想コンテナは現在このような状況です。

コンテナとアンティーク

他に建具類もそこそこありますので、各アイテムが梱包され膨らんだ状態を考えると、残り容量はさほど多くありません。

ストックヤードのブロカントな建具類

家具系の大きなアイテムをいくつも買い足すのは厳しそうですが、このところ力を入れ始めたレース類などの小物類はまだまだ買い付け可能です。

今日の投稿では、とりあえずこれまで買い付けたアンティーク・ブロカントを何点かご紹介いたします。優れたものを上から順に、ということではなく、一般の方でも興味を持っていただけそうな個性的で珍しいもの、という基準でアイテムを選びました。

まずは横幅2メートル超の巨大テーブルです。フランス語で”table de ferme”(農家のテーブル)と呼ぶどっしりとしたテーブルで、素朴でありながらも圧倒的な存在感があります。木の状態や金具から見て、1700年代後半から1800年代前半頃に作られたのものでしょう。

このテーブルは、フランスで”dépôt-vente”(委託販売)と呼ぶタイプのお店で見つけました。

“dépôt-vente” とは、個人の方が販売を委託し、成約した場合お店に一定割合の手数料が入る方式の委託販売店です。一見したところでは普通のブロカント店にしか見えないのですが、フランスではとても多い店舗スタイルです。仕入れコストがさほどかからず在庫リスクも限りなく小さいのは羨ましい!なお、個人の売主とお店が事前に決める固定価格制ですので、基本的に価格面での交渉はできません。

このような逸品が一般市場で入手できたのはちょっとした奇跡なのではないかと思います。これまで空振りすることが多かった店だったのですが、ダメ元でもマメに通ってみるものですね。

フランスの古い農家のテーブル(table de ferme)

大きな家具から一転、次は味わいのある古い手紙をご紹介いたします。
とあるプロヴァンスの旧家の屋根裏から見つかったものです。手紙の日付けを見ると、1741年、1770年、1778年など、ほとんどが1700年代のものでした。みな達筆で、美しい書体ですね!一枚づつ額に入れて飾るのはいかがでしょうか?

1700年代の古いアンティーク手紙

市場で流通しているアンティーク・ブロカント品も、もとをただせば個人の持ち物です。相続や家の建て替え時にアンティークディーラーに買い取りを依頼したものなどが市場に出てくることになります。

フランスのアンティークディーラー特有の表現(辞書には出ていません)に、”faire une maison”という言い回しがあります。直訳すると「家をする」「家を作る」ですが、家一軒分の什器・備品処分を依頼され、買い取りを行うことを指します。

ある朝、おなじみの蚤の市で、たくさんの人が集まっている一角が目に入りました。集まっている人々のほとんどが売り手ディーラーです。知り合いの女性ディーラーに「どうしたの?」と聞いてみたところ、”Il a fait une maison hier !”(彼は昨日、家一軒分の買い取りをしたのよ!)とのこと。

初めて市場に出る流通ホヤホヤの商品は値段も比較的お手頃ですし、出所がしっかりしている場合は、さらにコスパが高まります。売り切れてしまう前に、急いでガーデンアイテム3点を仕入れました。まだツタの絡まっている見目(みめ)麗しいアイアンフラワーカップです!こちらもかなり時代のあるものです。

最近はかなり精巧なフェイク・アンティークも増えてきましたので、このように由緒正しいお品は安心して買い付けることができます。

ツタの絡まるアイアンフラワーカップ

次は、その形状から”Porte de Chapelle”(礼拝堂の門)という名称で親しまれる、アーチ型のアイアンゲートです。とても背が高く、240cmあります。写真がピンボケ気味で申し訳ありませんが、見ていると中世に引き込まれてしまうような不思議な魅力があります。

時代特定は難しいのですが、間違いなく100年以上前のものです(鍵の形状から、それより圧倒的に古い可能性もあります)。

アンティーク アイアンゲート(Porte de chapelle)

ここで少しテイストを変えてみましょう。次にご紹介するのは、船の形をしたソファー兼用のベッド(デイベッド)で、フランス語で”Lit bateau”といいます。

“Lit bateau”は木製のものが多く、本品のような金属製のものは希少です。また、これだけデコラティブで凝った装飾のものは見たことがありません。ジャストフィットなマットも付いていますので、そのままお使いいただくことができます。

デイベッド lit bateau

よく訪れるプロヴァンス某町のテキスタイルショップに、上記デイベッドに合わせたサイズの円筒形クッション×2の製作を依頼しました。この可愛いお針子さんが作ってくれます、お楽しみに!

クッションを作るプロヴァンスのお針子さん

まだまだご紹介したいアイテムは尽きませんが、フランス人登場の流れに乗って、友人Fredericと彼のドアで締めくくりたいと思います。

プロヴァンスならではの色合いと、素晴らしいシャビー加減のラスティックなドアはいかがですか? 人工的に古い風合いを作ったいわゆる「シャビー加工」ものではない、本物の風化でできたテイストは一味も二味も違います。まさにプロヴァンス・シャビーと言えるドアです。

実はこの手のアイテムはありそうでなかなか見つからないので、今回もFredericに感謝です。新築・改装時のプライベートユースでもよいですし、ショップディスプレイとしても活躍してくれそうです。ひし形の古い取っ手も素敵ですよ。

プロヴァンスのアンティークドア

それではまたお会いしましょう!

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