フランスの蚤の市

Bonjour 皆さん!

ご存知の通り、フランスでは各地で蚤の市が開催されます。年に1度だけ開催される大規模な蚤の市もありますが、ほとんどが毎週特定の曜日に定期開催される小規模なものです。

蚤の市にはいくつかのタイプがあり、フランスでは”vide grenier”、”brocantes”、”marché aux puces”の3種に分類するのが一般的。

いささか教条的ではありますが、それぞれの蚤の市のタイプをざっくり解説すると以下のようになります。

  • “vide grenier”(ヴィード・グルニエ)ーー「屋根裏を空にする」という意味。基本的に売り手はプロではない一般人で、いらなくなった所有物(=不用品)を販売しています。お宝を発見できることもありますが、販売されているのは主に低価格の日用品。ガレージセールで販売されている品をイメージしてください(売り手は複数人います)。
  • “brocantes” (ブロカント)ーー “vide grenier” と違い、売り手のほとんどが業者です。”vide grenier”や”vide maison”(一般人が自宅で開催する不用品処分市)などで仕入れた品を販売しています。その道のプロが選んだ品ですので、 “vide grenier”に比べると価値のある商品が多く価格も高め。
  • “marché aux puces” (マルシェ・オ・ピュス)--探し出したりレストアするのに手間がかかっている質の高い品を見つけることができます。多くの場合ブロカント品だけではなくアンティーク品も売られています。幾重にもプロの手を経ている品ですので価格は高くなります。一定レベル以上の品が揃っていますので、再販目的で仕入れをされる方は “marché aux puces” で品を探すのが最も効率的でしょう。
※他に、コレクター向けの特定商品を扱う”bourses de collectionneurs”や特定の顧客を個人宅も含む会場に招いて開催する本格派アンティークの販売会”salon des antiquaires”などもあります。
※プロ向けアンティークフェアーは、「蚤の市」というジャンルには属さないため触れていません。

先に「教条的」と書きましたが、これらの用語が定義通りに使われていないケースも散見されますのでご注意ください。 ネットで”marché aux puces” と表現されているにも関わらず、実質”vide grenier” だった、という経験をしたことも何度かあります。

もちろん一般の方が楽しむ目的で蚤の市に行かれる場合は “vide grenier” でも全く問題ありません。ハイブランドの古着を思わぬ安値で入手することができるかもしれませんし、フレンチ可愛い雑貨などを探すのも楽しいのではないでしょうか。

Agenda des vide-greniers, brocantes et marchés aux puces“、”Marché aux puces – Calendrier des brocantes”などのサイトで蚤の市開催情報を調べることができます。日本のサイトでは情報を得ることができない地方などに行かれる場合はぜひ活用してみてください。上記サイトで適当なものが見つからない場合は「calendrier marché aux puces」で検索すると数多くの蚤の市開催情報サービスがヒットします。

蚤の市の開始時間はまちまちですが、私が最も利用する蚤の市はAM6時スタート。プロ向けアンティークフェアーですらほとんどがAM8時開始ですので、ここは気合が入っています。この蚤の市でハンティングする日はもちろん闇の中を出発。

まだ暗い早朝のコンドミニアム

今回利用しているコンドミニアムは何か所かに街灯があり夜間でも比較的明るいのですが、それでも車にたどり着くまでは懐中電灯が必携です。

法人運営の滞在施設で嬉しいのはセキュリティーがしっかりしていること。駐車場も含め入館には大きな電動ゲートを開ける暗証番号が必要です。暗い時間帯でもある程度安心して部屋を出ることができます。山奥の一軒家系コンドミニアムの場合、近所に街灯が無いことも多く、夜間・早朝の外出はかなり緊張します。

会場に到着!街灯と懐中電灯だけが頼りの闇の中、売り手ディーラーたちが一生懸命荷下ろしなど設営準備をしています。蚤の市を売り歩くディーラーの場合、重い商品の積み降ろしなど身体に負荷のかかる作業が多く、ほとんどの方が腰やひざを痛めています。

知り合いの某ディーラーは建具類を専門で扱っており、何十キロもあるアイアン門などを一人で運びます。「もう何年か前から片足の感覚が全くないよ」と言って笑っていました。軽井沢の店舗だけで販売している私でも腰を悪くしてしまいましたので、苦労はよくわかります。

まだ真っ暗な蚤の市会場

前述の通り本格的な”marché aux puces”では粒ぞろいの良品が多く売られており、特にレベルの高い蚤の市にはプロのバイヤーも買い付けに訪れます。フランスネイティブなバイヤーは他にも仕入れルートを持っているため、買い付けに訪れるプロバイヤーの半数以上が外国人。最も多いのはアメリカ人、日本人ですが、フランス以外のヨーロッパ諸国やロシアのディーラーを見かけることもしばしば。ロシア人は意外とフランスアンティークが好きなようで、アンティークフェアーなどでもよく遭遇します。

プロバイヤーの出足は早く、ほとんどの方が開始時間前に来場しています。アンティーク・ブロカントは一点ものですので、他の買い手より1秒でも早く良い商品を探し出さなければなりません。みな、”Il faut aller de bonne heure”、早い時間に行かなければダメだよ、が口癖。売り手のバンの中を懐中電灯で照らし、まだ荷下ろししていない品まで物色します。某アンティークフェアーでは駐車場の入場待ちをしているときに「〇×◇持ってない?」と声をかけられたこともあります。みな良い品を入手するために必死なのです。

また、少し言いにくいことなのですが、プロの買い手と一般客では売り手が提示する価格に大きな違いがあります。こちらでは同業者同士は安く譲り助け合う、という文化が定着しています。まだ太陽も昇っていない早朝から蚤の市を訪れる買い手は同業者として扱われますので、早朝の来場は良い品を見つけることができるということ以外に、価格面での大きなメリットもあるのです。

プロヴァンスの蚤の市の風景

一般客が訪れるのは午前の遅い時間帯。朝食なども済ませてから三々五々集まってきますので、10時から12時くらいがピークになります。上の写真は8時台のもの。一般客が来場するまでしばらく静かな時間が続きます。

この日訪れた蚤の市会場はリッチマンの別荘が点在する高級住宅街に隣接しており、近所のセレブな方が犬の散歩がてら立ち寄ることもあります。

蚤の市で犬の散歩をする人

サルコジ元大統領の弟さん(最近ファッションデザイナーのメアリーケイト・オルセンと結婚しました)やイネス・ド・ラ・フレサンジュなどもこの蚤の市の常連です。そういえば元F1レーサーのジャン・アレジ&後藤久美子さん(実質)ご夫妻もこのエリアに別荘を所有しています。

もちろん私はそういう方々とお付き合いはありません。売り手の方々と仲良くさせていただいています。

蚤の市の売り手たちと談笑するラファエル
蚤の市の売り手(女性)とラファエル

大きめサイズの家具はプロ向けアンティークフェアーや知り合いのショップなどで買い付け、蚤の市では主に雑貨、ファブリックやガーデン用品などを仕入れます。とはいえ何事にも例外はあるもので、この日は素敵なペイントチェストを買い付けることができました。

蚤の市で買い付けたアンティークコモード(箪笥)

それではまたお会いしましょう!

Raphaël

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